ページの先頭です。
2階フロアの光ファイバ製造技術「VAD法」
コンテンツエリアはここからです。

OB運営サポーターについて

当時の部品を使って復元!「デルビル磁石式壁掛電話機」

OB運営サポーターの中澤さんの写真

2015年7月、デルビル磁石式壁掛電話の体験が1階ロビーに仲間入りしました! もちろんこの復元も、OB運営サポーターによるものです!

◇◆デルビル磁石式電話機とは◆◇
デルビル磁石式電話機は1896年に導入された電話機で、その後約70年間にわたって使われました。
内部に磁石式の発電機があり、右わきのハンドルを回すことで電気を起こし、交換台に電話をしたい意思を伝えました。 左についているのが受話器で、本体中央についているラッパのような形の送話器に向かって話しかけました。

今回復元されたデルビル磁石式電話機は、電池を除いてはすべて当時の部品で復元されており、当時の音質などを知ることが出来ます。

中澤さんインタビュー

■今回なぜデルビル磁石式電話の復元をしようと思ったのですか?
私は1963年に入社し、金属の研究室から電話機の研究室に移り、 アナログ電話機からディジタル電話機への推移および端末解放による研究所での電話機開発の終了を見届けました。 それだけに電話機への思い入れは強く、いまでも電話機に関する書籍を見つけると入手しています。 その思いもありNTT技術史料館の倉庫で動かなくなった電話機を少しずつ修理してきました。 (A形交換機の体験展示などで使用している4号電話機のいくつかも中澤さんの修理の賜物です)。

復元したデルビル磁石式電話の様子を見る中澤さんの写真

また、最近では個人個人が携帯電話を持つようになり、固定電話機への関心が薄れているように感じます。 以前、電話機は映画やドラマの中で重要な小道具として登場し、その存在感はとても大きいものでした。 古い電話機に触れることによって、昔を偲ぶよすがとなればという思いもあり復元しました。

■復元するうえでのこだわりはありましたか?
当時の部品や材料だけを使って、エレクトレットマイクや半導体など現在の技術を使わずに復元することにこだわりました。

デルビル磁石式電話の内部の写真

■復元の上で苦労した点などはありましたか?
主に2つありますが、一つ目は電話機の諸特性とか回路図などの情報がなかったことです。 現在、三号電話機以降の電話機については回路図などが残っていますが、それより前の電話機については、回路図などがほとんど残っていない状況です。 どのような仕組みで動いているかは実際に現物を動かし確認していきました。その中で、蝶番を導体としている部分をワイヤに変更したりという事も行いました。

2つ目は、材料の確保です。デルビル磁石式電話機は炭素粉を使った初めての電話機です。 炭素粉は送受話器に使われていて、音を電気の波に変換する際、振動版と電磁石の間に炭素粉を挟み込むことで感度が向上しました。 炭素粉は600形電話機でも使われていますが、その形状が違うため、今回のデルビル磁石式電話機には使用することが出来ませんでした。 そのため、他の故障しているデルビル磁石式電話機などから炭素粉を集めて使用しましたが、振動板自体も金属ではなく、 ごく薄い炭素板で出来ているため大変割れやすく、中の炭素粉も漏れてしまっていることが多かったです。 現在のストック分だとあと1回くらいのメンテナンスは出来ますがそれ以降は難しいでしょう。 そうなった場合、比較的手に入れやすい600形の電話機の炭素粉を使えるように改良しないといけないと思います。

デルビル磁石式電話の説明をする中澤さんの写真

■今後の展望をお聞かせください
先ほどお話しした炭素粉について改良をして、今後もデルビル磁石式電話機の通話体験を続けられるようにしたいと思います。 現在は、炭素粉は密閉されていない状態なので、板とその間に柔らかい素材を挟んで炭素粉を密閉出来るようにするなどの工夫をしたいと思います。

また、601形電話機についての展示解説が現在の史料館にはほとんどありません。601形電話機は、通話品質や経済化の観点から600形から大きく性能がアップしています。そういった点を取り上げるようなことが出来たらと思っています。

中澤始さんの写真

<中澤 始 (ナカザワ ハジメ)>
1963年 電電公社 電気通信研究所 入社。 金属材料研究室にて受話器に使われるパーメンジュールの研究に従事し、その後電話機研究室にて600形電話機の商用試験以降の各種電話機の開発を担当。 2012年よりOB運営サポーターとしてご活躍。

ページトップへ戻る