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アクセス系システムと所外インフラの技術/アクセス網の技術 (線路、伝送、無線)
■国土に展開するネットワークとアクセス網の役割
交換機とユーザ機器を結ぶアクセス網。アクセスラインは、交換機側では太いケーブルにまとめられ、ユーザ宅に近づくにつれて次第に分れていきます。アクセス網は集束し分散します。それを効率的に計画する手法が配線法です。
 
■メタリックケーブルの進歩
1対の銅線が交換機とユーザ機器を結んでいたメタリックのアクセス網。管路やとう道など、既設の所外インフラを使って増える電話の需要に応えるには、同じ外径にできるだけ多くの心線を纏める必要がありました。メタリックケーブルの課題は、損失と漏話を抑えながら心線を細く被覆を薄くすることでした。被覆の改良は高分子材料の進歩で大きく前進し、1960年代から本格導入が進むPEFケーブルは一つの転機となりました。
 
■光ファイバ伝送と光アクセス網
光ファイバによる伝送方式は、中継伝送路から導入されました。1981年のF-32M方式の登場以後、GI型からSM型へ進歩し、単心ユニットから多心化が可能なテープ心線の登場、WBケーブルの開発による非ガス保守の実現などケーブル構造も大きく変わりました。光ファイバの接続技術は、当初、光ファイバを1本1本融着していましたが、多くの心線を一括して接続する技術を確立し、また、コネクタによる接続も可能になりました。光ファイバを扱うには高精度の技術が必要ですが、技術の発達はそれを容易に扱えるようにして、アクセス網光化の条件を整えました。
 
■高速マルチメディア通信と新しい伝送システム
高速マルチメディア通信への需要に応えて、アクセス網にも多様な伝送技術が適用されています。光アクセス方式では、ユーザ宅まで光ファイバで結ぶ FTTH=Fiber To The Home に至る、さまざまな段階のシステムが用意されています。無線アクセス方式は、古くからルーラル地域に適用されてきました。MASシステムは実用化された最初の無線アクセスシステムですが、その後、準ミリ波帯を使った高速の無線アクセスシステムやPHS技術を使用した無線アクセスシステム(λシステム)が登場し、最近では無線も幅広くアクセス系へ適用されるようになってきました。メタリックケーブルのアクセスラインは、かつてはアナログ電話の音声信号だけを伝えていましたが、モデムを介してファクシミリやコンピュータの信号を伝えるようになり、ISDNのディジタル信号を伝えるようになりました。いま、既設のメリットを新しい用途にどのように活かせるか、上り下り対称・非対称のものを含めて多くの方式が用意されています。メタリックケーブルによる方式、光ファイバによる方式、無線による方式−電話サービスから高速マルチメディア通信に向けて、アクセス網は大きく動きだしています。
 
アクセス系システムと所外インフラの技術
Access Systems and Outside Plant Infrastructure Technologies
 
アクセス網の技術(線路、伝送、無線)
Technologies of Access Networks
 
■アクセス網の技術
Technologies of Access Networks
 
空中を走り地下をめぐる伝送路
国土にひろがる通信網を構築する
Access networks, efficiently converging and diverging signal paths connecting terminal devices with each other, have evolved along with the progress of network technologies and are spreading as cost-efficient and reliable devices.
 
アナログからディジタルへ、メタリックケーブルから光ファイバへとネットワークは大きく変化した。しかし、端末機と端末機を結ぶ信号の通路を、効率よく収束し分散するという基本構造は変わっていない。ことに所外インフラ設備は、通新技術の革新のみならず、都市の進展や社会環境の変化に柔軟に対応する普遍的で信頼性の高いライフラインである。
 
街に村に伸びるアクセス網の伝送路
厳しい自然条件に耐えて通信を守る
Access networks, operated under harsh natural conditions and diverse social environments, support communications service using the "dream cable". NTT is aiming to improve technologies for construction, maintenance, and operation. 

アクセス網は、NTTとお客様を結ぶ重要な設備であり、その面的に広がった膨大な設備は常に厳しい自然環境や変動する社会環境に取りまかれている。これらの環境と調和を図りつつ、通信サービスを維持していくためにはアクセス網の建設、保守、運用に関する技術を保つことが不可欠となる。

 

アクセス網の技術
Technologies of access networks

情報化社会の進展に伴い、電気通信サービスに対する社会的要望は電話のみならずサービス、映像やデータ、コンピュータ通信など多種多様化している。それに対応するために、既存メタリック設備中心のアクセス網を有効に活用しながら、光ファイバ伝送方式や無線方式の導入を図り高度情報化社会へ対応していく。

 

 
電話サービスから高速マルチメディア通信へ
変貌するアクセス系システム
To support varied communications services as the information society progresses, access networks have evolved from metallic to optical fiber cables, and then to wireless communications.
 
 

 
配線法はアクセス網構成の基本技術
心線使用効率と柔軟性の確保を両立
Research on "feeder distribution" as a basic design technology was promoted to improve the usage ratio of conductors and to provide an access network optimal for transmission media and capable of meeting fluctuating demand.
 
加入者申し込みの急増により、それまで必要に応じて心線を用意していた時代から、事前にケーブルを布設して、先行的に心線を用意するようになった。配線法は効率的に心線を活用する方法であることから、心線の使用率をできるだけ高め、需要変動にも対応可能とするために、伝送媒体に適した経済的な網構成の実現を目指して研究を進めてきた。


光ファイバケーブルの配線法
Wiring system of optical fiber cable
 

 
■メタリックケーブルの技術
Technologies of Metal Cables
 
メタリックケーブルの歴史は、裸線から始まったが、その不安定さや伝送容量の乏しさから多数の心線を集合したケーブルに代わっていった。初期のケーブルは紙で絶縁した鉛被ケーブルであったが、伝送特性の向上などからプラスチック化を図り、軽量化、多対化が進んだ。ケーブルの進歩とともに接続方法も開発が進み、心線は手作業での接続から機械による接続方法に、また外被接続は火を使わずに簡単に接続できる方法へと変わっていった。
 
ペアケーブルとカッドケーブル
Pair cable and quad cable

海外で主に使用されているペアケーブルは周波数が高くなると漏話特性がよくなる性質があるが、星形カッドケーブルと同対であれば約1割程度外径が太くなるという欠点があった。日本では、星形カッドケーブルを高周波でも使用できる独自の漏話補償技術により、多対が可能で経済的に有利なケーブルを開発し導入した。

 

 
平衡対ケーブルと同軸ケーブル
それぞれの役割と使用環境に即した進歩
Metallic cables evolved from lead-insulated to plastic-insulated cablesin pursuit of maintenance-free and high-frequency-characteristic, i.e. in pursuit of the "dream cable".
 

同軸ケーブル開発の経緯と特性
Coaxial cable development history and characteristics


同軸ケーブルの伝送特性
Transmission characteristics of coaxial cables


紙鉛被ケーブルの特性
Characteristics of paper lead sheathed cable


PEFケーブルの特性
Characteristics of PEF cable


PECケーブルの特性
Characteristics of PEC cable


CCPケーブルの特性
Characteristics of CCP cable

 

 
施工むらを無くし経年変化を少なく
手ひねりから機械化・自動化、コネクタへ
The technologies for connecting conductors in metallic cables evolved from manual to mechanical and automatic methods to remedy the fact that only experts could manually connect conductors without fail as well as the fact that connections deteriorated over time.
 
わが国では、1897年に鉛被ケーブルを導入して以来、手作業で心線を接続する手ひねり接続が行われてきたが、作業に熟練していないと、施工むらがあることや、接続部分の経年劣化が大きいなどの欠点があった。このため、作業の機械化や自動化が求められ、コネクタ接続器やPATコネクタなどの開発を進めた。
 
心線接続の技術要素
Technological elements of conductor splicing

平衡対心線の接続は、心線導体どうしの機械的な接触で行うため、接触部は以下の特性が必要である。

(1)接触抵抗が小さく、振動などにより変化しない
(2)導体表面の酸化等による抵抗の増加が発生しない
(3)心線どうしおよび他の物体との絶縁抵抗、絶縁耐力が大きい
(4)接続作業が容易である
(5)化学的に安定している

 

 
接続点を保護するクロージャの革新
鉛工法からメカニカルクロージャへ
The plumbing method was used to connect outer sheaths of metallic cables since lead-sheathed cables were introduced,but this method was abolished after a fire broke out in a cable tunnel in Setagaya Ward in Tokyo in 1984. Since then, the standard closure method not using flames has been used.
 
1897年の鉛被ケーブルの導入以来、外被接続には鉛管を用いてきた。地下ケーブルにおいては、1984年の世田谷とう道火災を契機にその工法を廃止し、火気を使用しないクロージャによる工法を導入した。架空ケーブルにおいては加入者線引き落しを簡単に行える機能をもつ接続端子函を導入することで、作業効率が向上した。
 
外被接続の技術要素
Technological elements of sheath joining

ケーブル接続部では、心線だけでなくケーブル外被の機能も確保するとともに、ケーブル外被の適切な接続が必要であり、これには一般にクロージャ技術が使用される。ケーブル外被接続用クロージャは、ケーブル外被としての特性に加え、以下の特性がある。

(1)組立、解体が容易である
(2)心線接続部に容易にアクセスできる
(3)ケーブル外径や分岐数などの接続形態の変化に容易に対応できる
(4)狭いスペースに設置できる

 

 
■建設技術と保守技術
Technologies for construction and maintenance
 
1970年代には〈加入電話の積滞解消〉と〈全国自動即時化〉に向けて建設・保守の効率化を図るための技術開発を一段と推進した。その後、1990年代になり、電気通信の民営化とともに優れたサービスをより安く提供するための技術開発を積極的に推進した。建設技術についても人力による作業を機械化し、安全性や効率性の向上を図った。また、保守技術についてはガス圧監視などによる予防保全を強化するとともに、障害対策用のさまざまな装置を開発した。
 

 
人力から機械力へ
安全性と効率を両立させる布設技術
The installation of aerial cables evolved from the manual method involving midair work, which requires a high level of skill and physical strength, to the mechanical installation method, which offers improved safety and higher work efficiency as it eliminates midair work. The installation of underground cables evolved from the manual method to a method using special vehicles.
 
ケーブル布設技術の変遷
Transition of cable construction technologies
 
1897年に行われた、日本初の地下ケーブル布設から約50年間、地下ケーブル布設は人力で行われていた。その後、1953年頃からは運搬用自転車やけん引用ウインチなどの機械が使用されるようになった。しかし、まだまだ人力での工程が多かったため、ケーブルけん引車などの布設専用車両が開発され、安全性の向上や布設作業の省力化がもたらされた。光ファイバケーブルの布設には、1987年に光ファイバケーブルけん引機が開発され、中間けん引方式により、長尺での布設が可能になった。
 
ケーブル架渉技術の変遷
Transition of aerial cable installation
 
ケーブル架渉は人力中心の重作業であり、特に宙乗り作業は高度の熟練と体力を要する。このため、安全性、作業性の面から作業を見直し、1976年にはラッシング工法などのケーブル機械架渉工法を導入した。この工法は一部を除いてすべての丸形ケーブル線路に適用できたことから、宙乗り作業が不要となった。
 

 
所外設備の面的拡大に対応
重要になる保守作業の省力化
NTT performed technological research on cable maintenance to achieve laborsaving and reliability maintenance. Available methods include the gas maintenance method for metallic cables and monitoring systems such as AURORA for optical cables.
 

通信サービスの広域化に伴い、ケーブルなどの所外設備の保守については、信頼性を維持しながら省力化を図ることが一層重要となった。ガス保守方式により地下ケーブル内への水の侵入を防ぐことをはじめとして、故障時間の短縮を目的とした各種測定器の開発や故障位置を探索するさまざまなシステムの導入などを進めた。

光CATSシステム
Optical cable transfer splicing (CATS) system


浸水検知モジュール
Water sensor


光IDテスタ
Identifier


AURORA
Automatic optical fiber orerations support system

 

 
■アクセス系メタリック伝送の技術
Metallic transmission technologies of access network
 
1960年代初頭まで、アクセス系では電信電話サービスを主とした音声帯域のアナログ伝送が主流であった。1960年代後半になると、データ通信サービスの始まりとともに、端末のディジタル信号を音声帯域に変換して伝送する、低速データサービスを開始した。その後、情報化社会の進展によって増大し続けるデータ通信サービスの需要に応じて、ディジタル信号をそのまま伝送する方式が主流となり、INSネット64に代表される高速ディジタルデータ伝送が実現した。
 
アナログ伝送からディジタル伝送へ
進む高速ディジタル伝送方式の開発
Metallic transmission technologies of access network began with analog data transmission and evolved to digital data transmission.
 

1960年代後半、電信・電話に続く第3のサービスとして、2線式モデムによるデータ通信サービスを開始した。これは、中央の電子計算機と遠隔地の端末とを、既存の電話網を介して結ぶサービスである。初期の通信速度は300bpsと1,200bpsであったが、半導体素子技術の発展に伴い、9.6Kbpsまで高速化された。また、1970年代後半、上り・下りにそれぞれ2線を用い、 AMI符号による、ベースバンドディジタル伝送方式を採用した4線式のディジタルデータ伝送サービスを開始した。通信速度は3.2Kbps、6.4Kbps、12.8Kbps、64Kbpsである。


伝送方式の特徴
Characteristics of transmission systems


メタリックケーブルの高速ディジタル化技術
High-speed digital transmission technologies for metallic cables


INSモデルシステムから始まった日本のISDNサービス
Japan's ISDN service that started from the INS model system


ピンポン伝送方式
Ping-pong transmission system

 

 
■光系アクセス網の構成
Implementation of Optical Access Networks
 
アクセス網での光ファイバケーブルの利用形態は3種類ある。第1形態(HFC)は同軸ケーブルとの併用、第2形態(FTTB・FTTC)はメタルケーブルとの併用である。第3形態(FTTH)は全区間が光ファイバケーブルとなった状態である。第1形態(HFC)、第2形態(FTTB・FTTC)に比べて第3形態は多彩で広帯域なサービスへの対応性に優れている。
 
全区間光ファイバのアクセス網をめざして
同軸ケーブル、平衡対ケーブルとの併用も
To cope with increasing demand for high-speed broadband services, the Nippon Telegraph and Telephone Public Corporation (now NTT) has promoted research and commercialization of optical networks since the 1970s and realized a nationwide network of transmission lines in the second half of the 1980s.
 

電電公社(現NTT)は、高速・広帯域サービスに対する需要の増大を想定して、1970年代からネットワークの光化準備を始めた。1980年以降には、光ファイバケーブルを実用化し、多心化するとともに、ケーブル接続技術の実用化や簡素化も推進した。1980年代後半には、光ファイバケーブルによる全国規模の伝送路を実現している。


光ファイバの開発経緯
Development history of optical fibers


光ファイバの構造と特徴
Structure and characteristics of optical fiber


光ファイバケーブルの進歩
Progress of optical fiber cables


光ファイバケーブルの構造
Structure of optical fiber cables

 

 
幹線系光ファイバケーブル
Feeder optical fiber cables
 

最初の幹線系光ファイバケーブルは1982年に導入したGI型(Graded Index)光ファイバケーブルである。1983年にはSM型(単一モード)プラスチック被覆光ファイバを4本直線状に配置して一括被覆した4心光ファイバテープをプラスチックロッドの外周に設けた溝(スロット)に収容した大容量中継伝送方式用の<SM型光ファイバケーブル>を開発、その後も改良を重ね、WBS、WBM、WBA、更に施工性の向上をめざして、より一層の軽量化を図ったWBB光ファイバケーブルを開発、導入した。


心線接続用コネクタの導入経緯
History of introduction of connectors for fiber splicing


融着接続機の変遷
Transition of fusion splicers

 

 
幹線系光ファイバケーブル
Distribution optical fiber cable
 

電柱に架設される配線系光ファイバケーブルは、架設の簡易化のために、ケーブル部と支持線部が一体となっており、既設の光ファイバケーブルとの接続(中間後分岐)も容易になるように、SZ撚りスロットロッド構造が採用されている。また、自重と風圧による張力を考慮して、ケーブル部が支持線部に対し、たるみ付き窓付き構造になっている。


配線系の構成
Configuration of distribution section


ユーザ系
User section

 

 
■アクセス系光伝送の技術
Optical transmission technologies of access network
 
光ファイバ伝送は、高速・広帯域通信が可能であるという特徴をもっており、古くからその実現が望まれていた。電気通信研究所では、1970年代半ばに、光ファイバケーブルの低損失化を実現したのに伴い、1977年より加入者系光伝送の研究を始め、1984年のINSモデルシステム(*1)、1986年の複合光加入者系伝送システム(*2)などの実用化実験を通して、技術の確立、商用化を目指した経済化を行ってきた。1982年の映像系光伝送に始まった商用化サービスは、SS方式、ADS方式、PDS方式の3つの方式を用い加入者系の光化を実現している。

(*1) INSモデルシステム
1984年に三鷹・武蔵野地区で行われた 64kbps系ディジタル網システム、広帯域系システムを主とする高度情報化システム。その一環として、光ファイバを用いた加入者系広帯域通信システムの技術検証を目的に光伝送実験を行った。

(*2) 複合光加入者系伝送システム
波長の異なる3波の波長多重技術(WDM)を用いて、映像分配サービスとINSネット64サービスを1本の光ファイバで提供するシステム。

 
光でつくる多様なアクセス網のかたち
SS、ADS、PDSの3方式で商用化
NTT conducted research and commercial tests on access system optical transmission technologies, implementing access system optical transmission using three methods: SS, ADS, and PDS.
 

シングルスター(SS)
Single Star


アクティブダブルスター(ADS)
Active Double Star


パッシブダブルスター(PDS)
Passive Double Star

 

 
アクセス網光化への始動
高速・大容量通信サービスへ
As information became a high-value-added commodity, there was a shift toward fiber optics for access networks to accommodate increasing needs for high-speed wideband transmission of massive amounts of information.
 

情報が付加価値の高い商品となる時代を迎え、大量の情報を効率的に伝送できる高速・広帯域サービスを充実させる必要性が高まり、アクセス系の伝送容量の増大が不可欠となった。NTTは、高速・広帯域に対応可能なアクセス網を構築するために、1980年代から、ケーブルの光化を進めてきた。さらに、高速・広帯域用のアクセスシステムとして、SS方式を開発し、さまざまなサービスを提供した。


映像伝送サービス
Video transmission service

 

 
幹線系の光化を可能にしたADS方式
複数の回線やサービスが多重化された光信号
In order to opticalize a feeder cable by POTS or other narrow-band services, NTT developed CT/RT system based on an ADS transmission method.
 

アクセス網の幹線系については、高速・広帯域サービスだけでなく、低速・狭帯域サービスもあわせて光化を進める必要があった。そのために開発されたのが、CT/RT方式と呼ばれる光アクセスシステムである。このシステムによりビジネスエリアの大口ユーザビルへの光回線の大量導入が可能になり、アクセス網の光化が促進された。


LXMの機能と役割
Functions and roles of LXM

 

 
配線系の光化を可能にしたPDS方式
πシステムや映像系サービスの提供も
In order to opticalize a distribution cable, NTT selected a PDS transmission method. Using the method, NTT developed the Pi-system for POTS or other narrow-band services, and the CATV video transmission system for video distribution.
 

光アクセス網を構成する場合、既存のサービスを継続しながら、ケーブルの光化を経済的に進める必要があった。このため、設備コストを軽減するPDS方式を開発し、幹線系だけでなく配線系の光化も可能にした。この技術を利用して通信系サービスのコストを軽減させるπシステムや、映像系サービスの提供も可能なCATV映像伝送サービスが開発された。


多様なユーザニーズへの対応
For various user needs


シェアドアクセス技術
Shared access technologies


N-SLT(光加入者線端局装置)
N-SLT (Optical line terminal for narrow-band services)

 

 
■アクセス系無線伝送の技術
Wireless transmission technologies of access network
 
通信網などのノード装置とユーザ端末を接続するアクセス系に無線を適用した方式であり、メタリックケーブルや光ケーブルと無線方式を合わせることでさまざまなサービスに対応している。有線でのアクセス方式と比べると、設備構築や保守などで経済性に優れるとともに、災害や突発的な需要にあわせて短時間でシステムを構築できる利点がある。最近では、発展途上国、先進国を問わず、通信基盤の整備や拡充に有効な技術として導入を進めている。
 
優れた経済性と突発的需要への対応
通信基盤の整備・拡充に欠かせない電波
Wireless transmission of access network is being introduced as a technology effective for improving and expanding the communications infrastructure thanks to its cost efficiency and support of various services when combined with wired access methods.
 
山間僻地などの過疎地域への電話普及を目的に開発した最初の加入者線無線方式であり、1975年に秋田県鹿角局に導入した。それまで有線だった加入者線区間をすべて無線回線で置き換えたこの方法は、複数の回線を多数の加入者で共通に使用するマルチアクセス方式を採用していた。適用距離は基地局からおおむね半径20kmの範囲であり、無線回線を6チャネル使用して50加入が収容可能であった。
 

 
TDMA方式と対向型方式の特徴を活かす
ワイヤレスアクセス方式(広帯域FWA)
There are two types of broadband wireless access schemes:one type for large cities and one type for provincial cities. The broadband FWA system uses Reed-Solomon code for error correction to provide transmission with higher quality and larger capacity
 
アクセス方式には、加入者数の多い大都市などに適している<26GHz帯TDMA方式>と、加入者数の比較的少ない地方都市などに適している<26GHz/22GHz帯対向型方式>の2種類がある。1999年には、リードソロモン符号を誤り訂正に用いることにより、さらに高品質・大容量の伝達を可能にした広帯域FWAシステムを開発している。
 

 
有線布設が困難な地域に有線と同じサービスを
小規模需要加入者無線アクセス方式(WIDE)
The small-scale demand wireless access technology is used to provide equivalent services to mountainous regions, islands, and sparsely populated plains where the installation of cables is onerous.
 
有線の敷設が困難な山間部、島しょ部、集落が散在する平野部などに適用される。加入電話、ISDN、専用線などの有線と同じサービスを提供することができる。
 

 
PHS方式の固定無線への適用で低コスト化
1.9GHz帯加入者無線アクセスシステム(λシステム)
The 1.9GHz band subscriber wireless access system (λ system), which uses the same air interface as the personal handyphone system (PHS) currently in commercial use for mobile communications services in Japan, realizes downsizing with regard to the number of units as well as lower costs.
 
国内の移動系サービスで商用導入されているPHS方式と同等のエアインタフェースを用いることにより、装置の小型化、低コスト化を実現している。国内では、メタリックケーブルの経済的な更改システムとして導入されており、海外でも、早期で安価にインフラ構築が可能なツールとして、発展途上国を中心に導入されている。

1.9GHz帯加入者無線アクセスシステムの特徴
Characteristics of the 1.9GHz band subscriber wireless access system (λ system)

(1)耐災害性・保守性の向上
架空ケーブルや引込線がなくなることにより台風などの災害に強い設備が構築できるとともに、これらの区間での故障発生件数が減少する。

(2)情報格差の是正
既存のメタリックケーブルでは提供困難な地域に、ISDNサービスの提供が可能となる。

(3)光ファイバ化の促進
RTとWCS間のエントランス回線に光ファイバを使用するため、光化の促進が図られる。

 

 
■ケーブルを守る
Maintenance of Transmission Cables
 

1970年代に大量に設置された通信ケーブルは、その後の設置環境によっては腐食、劣化、雷害などが発生し、保守や点検作業に多くの経費・稼働が必要となった。そのため、各種の防食方法、劣化診断装置、保安器などの採用により、点検作業の効率化や補修作業の省力化を推進した。


対策技術開発史
History of development of protection technologies

 
耐食材料など防食法の開発
腐食と劣化への対策
Measures against corrosion and deterioration are important in protecting communications cables and facilities used under harsh natural conditions, and diverse technologies have been developed in this area.
 

通信設備のまわりに電気的要素や腐食性物質が存在すると、ケーブルおよびケーブルを支える構造物の腐食が著しく促進される場合がある。そのため、通信設備に関するさまざまな防食法を開発した。防食法の種類としては、金属を腐食環境から遮断する方法、耐食材料を採用する方法、および電気化学的に防食する方法がある。


ケーブル心線の絶縁体補修スプレー
Insulation repair spray for cable conductors


吊り線劣化限度見本
Deterioration limit samples for messenger wires


屋外設備の防食処理技術
Anti-corrosive processing technique for outdoor facilities

 

 
多様な加害生物へのきめ細かい対応
生物被害の実態と対策
Many cables and other telecom facilities are attacked by squirrels, rats, birds, and ants. Therefore ,NTT has developed a suitable countermeasure for each biological attackers by clarifying the dependence of the damage on attacker. As a result, the countermeasures have contributed enormously to reduction of the geological attackers.
 

1986年度までは、全国で毎年1,000件以上の生物被害が発生しており、全体の62%が架空ケーブル、36%がケーブル心線の被害であった。加害生物としてはげっ歯動物(リス、ネズミなど)、鳥類、蛾の幼虫、アリなどが挙げられる。この生物被害については、設備の損傷跡をもとに加害生物を判定する方法を確立し、各種の対策を実施した結果、被害が減少している。


HSケーブル (HS:High Strength Sheath)
High strength sheath (HS) cable


鳥害防止帯
Sheath against birds attacks


防リスシート
Barrier from squirrel attacks

 

 
雷サージ電流の侵入から通信機器を守る
保安器と接地技術の開発
To prevent the damage of communications equipment due to lightning, NTT provides countermeasures such as arresters and lightning protection adapters.
 

落雷が発生すると、通信線に数100A〜数kAもの雷サージ電流が侵入し、通信機器を破壊することがある。雷から通信機器を守る対策として、通信機器に雷サージ電流が侵入したり、通信線が破損しないよう保安器や雷防護アダプタなどによる対策を行っている。


加入者保安器
Subscriber arrester


ケーブル保安器
Cable arrester


雷防護アダプタ
Lightning protection adapter

 
展示概要
アクセス網の技術
  国土の自然と街や村の社会を舞台に展開されるネットワーク。ネットワークにおけるアクセス網の位置づけを図解。配線法についても解説。
メタリックケーブルの技術/アクセス系メタリック伝送の技術
  メタリックケーブルの進歩を平衡対ケーブルを中心に、同軸ケーブルや導波管も含めて紹介。アクセス系の伝送技術の進歩を解説。
ケーブルの架渉と布設・保守の技術
  メタリックケーブルの心線・外被接続技術。光ファイバの障害箇所を遠隔探知などケーブルの保守技術。
光系アクセス網の構成とその技術
  所内系・幹線系・配線系・ユーザ系と、光系アクセス網の具体像を展開。光ファイバと接続技術の進歩。
アクセス系光伝送の技術
  SS、ADS、PDSの3方式による商用化の展開。
アクセス系無線伝送の技術
  ルーラル地域のサービス高度化に欠かせない無線伝送技術の展開。
ケーブルを守る/自然との闘い
  腐食や雷害、そして多様な生物の被害からケーブルを守る技術の進歩。
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Copyright (c) 2003 NTT History Center of Technologies
フロアガイド:2F:E.アクセス系システムと所外インフラの技術

関連資料一覧
歴史をたどる
(1) 電信電話ことはじめから
(2) 復興と成長の時代(1950年代から)
(3) 技術革新と多様化の時代(1970年代から)
(4) ディジタル技術とマルチメディアの時代
(1980年代半ばから)
(5) 技術史のラウンジ
技術をさぐる
T. サービスとネットワークのひろば
A ノードの技術(交換、ソフトウェア)
B オペレーションの技術
  (オペレーション、ソフトウェア)
C トランスミッションの技術
  陸と海の情報ハイウェイ技術(伝送、線路)
空と宇宙の情報ハイウェイ技術(無線)
D ファシリティの技術
ネットワークを支える建築技術(建築)
ネットワークを支えるエネルギー技術(電力)
U. アクセスとターミナルのひろば
E アクセス系システムと所外インフラの技術
アクセス網の技術(線路、伝送、無線)
ネットワークのシビルエンジニアリング(土木)
F ユーザ機器の技術(宅内)
G NTT技術のひろがり(基礎・基盤)
NTT技術のひろがり(ソフトウェア、国際標準化、海外活動、環境保護推進)
V. コンピュータとモバイルのひろば
H 文字・画像の通信とサービスの技術
ネットワークで使うコンピュータ(DIPS)、昔の電報・コンピュータ時代の電報(電報)
テレックスからコンピュータ通信へ(パケット)、画像通信と画像情報提供システム(画像)、データ通信サービス(データ)
I モバイルネットワークの技術(移動体)
J 情報流通の新技術(新技術)